よつばと15巻の感想

やっと。やっと新刊が発売された。そして読む。今回もやはりよつばとスローライフが展開されるのだ。思いっきり15巻のネタバレになっちゃうので注意なのだが、よつばのね、ランドセルをついに買うのよ。その姿を見てとーちゃんが色々とね感極まっちゃってるの。そんなとーちゃんの姿を見て我々読者は様々な感情を募らせる・・・。そんな感じの15巻。感情がささやかに爆発する。

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14巻が一体どんな話だっけ?って思い出す前に新刊の15巻を読み始めた。連載がストップしているからよつばたちの世界線も止まっているのだと思っていたが、実際に読んでみると「え・・・。よつば成長している?」心なしか背丈も大きくなったんじゃないかなとじっと見つめちゃう。まるで母親かのような目線でよつばのことを見てるんだけど。絶対大きくなっていると思う。周りのよつばフレンズたちも然り。

また、あずまきよひこ大先生は本当に偉大だと思う。言葉のチョイスが絶妙。今回もかなり心に刺さったセリフがいくつかあった。

「たからものみたいにかわいい」

これ↑はよつばの発言なんだが、こんな言葉を発されるともうピュアすぎて心が浄化されちゃうよね。どんな風に可愛いのかという説明に「たからもの」というワードを使うセンスの良さにね、凡人の私なんかは震えちゃうわけです。

また帯に「普通という奇跡」という文字がシンプルに重く鎮座している。しかしよつばの生い立ちを思い出すと全然「普通」じゃないのだ。母はよつばのそばにいないし、「とーちゃん」と呼ばれる人物とは完璧には血が繋がっていない。そんな初期設定の下、近所の人と出会いながら話は大きな起伏なく進んでいく。それがよつばの言う「普通」だ。

そんなに大きな事件や他者を飽きさせないイベントなんて毎日起こるはずないんだけど、自分の思う当たり前が当たり前に送れるということが何よりも幸せなんだ。その姿勢が一貫して貫かれているから、デフォルトの設定がどうであれ、悲観なんかすることなくストーリーに浸れる。良いわぁ。

 

早く16巻でないかな。次は何年後になることやら。今後ドラマチックな展開になるとは到底思えないんだけど、ずっとよつばたちの「普通」に触れられたら、それは一種の癒しだなと思う。よつばとセラピー、かなりの需要があるだろう。