「寂しい」と思ったときに観る映画。

 

暑く蒸し蒸しした日々がなんともやんごとなく続いていますが、お元気ですか。私は絶賛この暑さと湿り気を帯びた空気感に叩かれ、まいっています。誰か助けて。

まぁそういうわけで、狂いそう一歩手前くらいで毎日生きているわけなのだが、やはり自分が意図的に摂取しているものに救われることが多い。食べた物で人間は出来上がっているとか云々のことなのだが、観たもの読んだもの、触れる人に一気に癒されるのだなと痛感中。

最近私が摂取したものでよかったものをご紹介する。

ちょっと前の記事で本が原作の映画をかなり酷評したのだが、今度はその逆で映画を先に観てその後原作を読んだパターンなのだが、過去に戻って映画化作品をこき下ろした自分を殴りたくなるくらいによかった。

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「デッド・エンドの思い出」という吉本ばななさん原作の映画がある。こちらが繰り返し観たくなるだろうな、というかもうすでに繰り返し観ている。それくらいなぜか日常に馴染み、定期的に触れたくなる世界観なのだ。

話は韓国人の主人公ユミ(韓国人)が日本で就職した遠距離恋愛中の彼(韓国人)に会いに日本に来ることから話は始まる。ちなみに原作は遠距離恋愛をしているが普通にどちらも日本人設定だ。遥々会いに行ったにもかかわらず彼には新しい日本の彼女ができていて、なんと結婚をする予定だと。何も知らなかったユミは驚愕アンド絶望のエレクトリカルパレード。こんな状態では国に帰るにも帰れず…。そんな傷心・ユミが出会ったのがエンド・ポイントというゲストハウス。ここで雇われ店長をしている西山くんをはじめ、個性的なお客さんとの出会いを通じて少しずつ自分の人生や思考の整理を始めるユミ。

印象的なシーンは多々あるのだが、ユミがぼーっと外を眺めるシーンがなんとも言えない。すごく静かで孤独を噛み締めているところが切なくて美しい。そしてやはり人生のところどころで人間はぼーっとする時間を持たないといけないのだ。シャープにビジネスライクに生きるのもカッコいいかもしれないが、そもそも人間なんて全裸で産まれてきているのだから、そこそこの恥を担うキャパはあるだろう。だから恐れず時々口を半開きにしちゃって、ぼーっと景色を眺めようよ。なんかさ、孤独は寂しいものかもしれないけれど、決して悪いものじゃないんだなと年々思うようになった。歳かしらね。そういう種類の人生の味わい方を教えてるくれる、そんな作品だ。

なんだか寂しいなと思うときに観てほしい。特に理由はなし。