アフターコロナの患者さんを受け入れて垣間見えた現実。
私の働く病院ではコロナ治療ができない。
というのも急性期病院(大門未知子やチーム・バチスタのメンツがいるような病院)ではなく、救急もとっていない慢性期の病院だからだ。
しかしアフターコロナの患者さまのお受けれは行っている。
若い人はコロナに感染しても治療しリハビリをちょっとすれば退院できるのだが、高齢者はそうはいかない。
だがしかし治療が終了すれば急性期の病院は退院させられてしまう。
コロナで入院する前までは身の回りのことは自分でできていたおばあちゃん(orおじいちゃん)がコロナに感染したことで、入院しアビガン・デカドロン・レムデシビルといった強いステロイドで治療し、ヘロヘロになってしまいおむつ対応になるというパターンのなんと多いこと。
こんな風に自分のことが自分でできないとなるとすぐに自宅退院はできない。
家族が面倒をみれないからだ。
そんな患者さんのお受け入れをさせていただいている。
みんなさん重症化して呼吸器が乗っただのアビガン使用しただの本当に大変な治療を終え、クタクタに疲れ果てた戦士のように水なすの働く病院へやってこられるのだが。
一命は取り留めたとしてもコロナ後遺症はとても色濃く残ってしまっている。
なかなか呼吸器症状が取れなく、酸素が外れないという方が多いのだ。
また長期に渡る入院加療によって老衰が始まり、自分の口からご飯を食べられなくなるコロナ後の患者さんも多々いる。
高齢者が コロナに感染すると全ての負のスパイラルが始まってしまうのだ。
水なすの病院もだが全ての病院に入院期限というモノがそれぞれにあり、その期限がくるまでに病院を出て行かなくてはならない。呼吸器症状が取れない、食事が口から取れないなんていうことは時間をかけて治るものではないため、この理由だけでの長期入院は難しくなる。
じゃあ酸素がついたまま、経口摂取のできない患者様はどうなるのか。
言語療法士が介入して経口訓練を行いことで、食べられるようになれば退院。
食べられるようになっても寝たきりであることや酸素管理が必要であれば家に帰れない、という場合は施設へ行ってもらうことになる。
そして施設入所までその病院にて入院できるかどうかも怪しいところなのだ。
期限が来れば無常にも「出て行ってください」的なことを病院より宣告されてしまう。
行き場のない患者さんはどこへ行けば良いのか。
病院を転々と転院していくことで施設入所を目指すのだ。
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もちろんコロナ患者さんだけに入院期限があるのではなく、期限に関しては他の患者さんも同じだ。しかしコロナ治療後だからといってその期限が延長できるというわけでもない。
病院にいる限り入院期限という制約の下、施設なのか自宅なのかを家族は選択しなくはならない。
いきなり「介護」という問題が降りかかり、茫然と立ち尽くす家族を目にすると本当に不憫でならない。そりゃ高齢の父親母親がいる方にとって親の介護問題というのは避けられないのだけれど。
コロナにさえかからなければ元気だったのに、みたいな人も中にはいるから他人事ではなく自分のことだと思って感染対策しないといけないのだ。
まだ当分こういった患者さまやその家族と出会うのだろう。
もちろん軽快退院して行かれた方も多々いるので絶望ばっかりではない。
ただただ自分のできる範囲でコロナに感染しないよう意識を高めていきたいと思う日々なのである。