村上春樹をこの歳になって初めて読んだ話

 

今まで一度たりとも、村上春樹の本を手にとることはなかった。

なぜ手に取らなかったかの理由は以下が挙げられる。

村上春樹という作家をそもそも知らなかった

・周りの読書仲間も村上春樹を読んでなかった

 

初めて村上春樹という作家が存在することを知ったのは高校1年生のとき。夏の宿題である読書感想文の課題図書のうちの一つだった。「海辺のカフカ」だったかと思う。まぁ私は別の作家さんの別の本を読み、感想を書いたのだけれど。

友達が海辺のカフカを読んでいた。その頃は「ノルウェイの森」が映画化された?かそれぐらいのタイミングだったから、かなり話題の作家さんだった。ノルウェイの森はいまだに読んだこともなければ映画も見たこともないけど、水原希子ちゃんが出演していることだけはなぜか知っている。

その頃からかなり注目を浴びている作家であったことから、みんな読んだ子に感想を聞いていた。私の友人にも感想を聞いて見たが覚えているのは「なんかエロいシーンがあったわ」って言ってたことしか覚えてない。 

その少ない情報から私の中で村上春樹とは「エロいシーンも大胆に書き表す純文学派作家」という位置づけになった。

うーん、情報が少ないって怖いな。あと勝手になんか小難しいことを本に書いてそうっていうこれまた間違った印象を持っていた。その間違った情報のせいで私は春樹に対して歪な感情を持つことになったのだ。そのおかげで約10年ほど春樹を無視する人生に。(まぁ特に問題なかったけど)

初めて読んだ感想としては、意外にわかりやすいというか、理解のしやすい文章を書くなと思った。とっつきやすいと聞いて「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んだのだけれど、かなり読みやすかったし内容もおもしろかった。

時間が大体のことを解決してくれるから、心の痛みは無視できるようになるし、そもそもほっといてもおおよそ癒されていく。それはそれで良い。でも痛みに向き合わないとならない時がある。もちろんそれさえも無視したっていい。しかし「向き合った方が良いよ!」と薦めてくれる人のいるという幸福もまた甘美だ。耳馴染みの良いことを言っていくれるだけの人が友やパートナーであれば人生は途方もなくつまらないことだろう。

そんな人生におけるシンプルだけれど大切なことに気づかせてくれる。村上春樹のなにを知ったわけれはないのだけれど、確かに私の心は掴んだ。だからもっといろんなものを読みたいと思う。

今はそれだけで良いだろう。